Monday 27 May 2013

水筒の紐

小学校のころから,肩から下げるタイプの水筒の紐というものが,とても好きだった.
ありふれた水筒の,なんの変哲もない紐.紐という言葉は不適切かもしれない.
それを,分解をしてみるとあまりにあっけないような単純な機構が固定していることに,
特に, 部品のどれにも,いかにも何かを支えようというような感じはなくて,
下に落ちていきたい水筒を留めているのはむしろ,水筒の自重そのものであることに,
当時の僕はいたく感動し,以来水筒の紐には一種の畏敬の念に近いものをおぼえている.
水筒をはずすためには一度水筒の落下したさを抑えて紐を緩めねばならず,
逆に,それさえすれば水筒は自由に墜落できる,という,
自縄自縛ということばもいかにも似つかわしくおもわれるけれど,
ともかく,そのあたりのことに,ある特殊な好ましさを感じている.


もちろん紐があのように止まっているのは単純に自重だけによるのではない
(紐がたるんとなっても別に外れたりしない)ですが,まあそれはともかくとして,です.

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